1.7 DOIシステムのビジネスモデルと組織モデル
DOI®システムは、DOI®財団の統治の下でコミュニティのDOI名を割り当てる権限を与えられた登録機関(RA)を通じて展開されます。
1.7.1 登録機関の連合体(Federation)
DOIシステムは、ユーザー(登録者)にサービスを提供する登録機関(RA)の連合体を通じて実装されます。
- 登録機関は、DOI財団が定めた方針と技術基準に従う義務がありますが、事業運営のための独自のビジネスモデルを自由に開発することができます。
- ユーザーは、コンテンツを登録するか、あるいは、RAを構築するためのコミュニティを開発することで、RAが提供するサービスに参加できます。
- 登録者は、直接または契約(例えばRAとの契約)のいずれかにより、自らのコンテンツの適切な情報管理(URLとデータの保守など)を確保します。
1.7.2 解決サービスは無料
DOI財団は、すべてのDOI名を解決できるDOIプロキシを維持しています。DOIを解決したいあらゆる人または機械がユーザーになることができます。DOI財団のメンバーである必要はなく、好きなだけDOIプロキシを利用することができます。DOIの解決サービスは、現在も今後も無料です。
1.7.3 DOI財団のガバナンスの役割
DOI財団はDOIシステムのガバナンス機関です。
- DOIシステムに関連するすべての知的財産権を保護(登録者に代わって所有または使用許諾)します。
- DOI財団はRAと協力し、かつ、DOIシステムのコンポーネントの基盤となる技術標準を用いて、システムに加えられた改良(DOI名の作成、維持、登録、解決および方針策定を含む)が、いかなるDOI名登録者にも利用可能であること、およびDOI名の規格を実践するにあたり、いかなる第三者のライセンスも合理的に要求されないことを保証します。
- 統治、範囲、方針の合意済みの基準を提供するとともに、技術的な基盤(解決メカニズム、プロキシサーバー、ミラー、バックアップ)、社会的な基盤(永続性の約束、フォールバック手順、コスト回収(自立モデルによる)、システムの共有利用)を提供します。
1.7.4 DOI名前空間割り当ての仕組み
DOI名前空間の割り当ての仕組みは以下のとおりです。
- DOI財団が、最上位のプレフィックス(10)から派生するプレフィックスを1つまたは複数、DOI名の登録を希望する組織(登録機関(RA))に割り当てます。
- RAは、割り当てられたプレフィックスを用いてDOI名を登録します。RAが顧客(登録者)それぞれに別々のプレフィックスを割り当て、登録者用のプレフィックスと登録者から提供されるサフィックス(プレフィックス内で一意である)の組み合わせによりDOI名が設定されることで、DOI名を一元的に割り当てる必要性を回避できます。
図8は、DOI名前空間の割り当ての仕組みを示しています。
