7.1 DOIアプリケーションの設計にあたってのチェックリスト
DOI®システムは、どのようなアプリケーション領域においても、識別と解決の要件を満たす柔軟性を備えています。しかし、これらは「箱に入って」提供されるものではありません。コミュニティの特別な要件をサポートするために、誰かが、特定の社会的・技術的構造を構築し、そのコミュニティに価値をもたらすアプリケーションを提供する必要があります。DOIシステムアプリケーションを設計する際には、いくつかの問いについて考える必要があります。
問い | 説明 | 参照 |
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この識別子で何を識別するのか | 何を識別し、識別する2つの物が「同じ物」であるか否かに関するルールは、DOIシステムの特定のアプリケーションレベルで策定されます。この策定を担うのは登録機関(RA)です。この簡単そうに見える(通常「粒度」として知られている)問いは、識別子に関するすべての議論の中で最も難しい(ものでありながら、最もよく見落とされる)ものの1つであり、それに対する答えは一見するよりもはるかに難しいことがよくあります。2つの物が「同じ物」であるかどうかの答えは、完全にコンテキストに依存し、特定のアプリケーションが何を区別する必要があるかを意味します。 | |
この識別子から何に解決しようとしているのか | DOI名は何にでも解決できます。少なくとも、URLに解決しますが、複数のURLを指定したり、複数の他のデータタイプを返すように設定することもできます。 | 第5章 DOI識別子/解決サービス |
このDOI名にどのようなメタデータを関連付けようとしているのか | 明示的な構造化メタデータレイヤがなければ、識別子は基本的に特定のアプリケーション以外ではまったく意味を持ちません。ほとんどのDOI名は、まだ特定のアプリケーション内で使用されており、広範な相互運用性の実現のためには使われていません。RAは明示的な構造化メタデータを明らかにする必要はありませんが、カーネルメタデータと追加のアプリケーションのメタデータを管理しており、これらは様々な方法で配信できます。 | 第4章 DOIメタデータ |
相互運用性の要件とは何か | DOI システムは、他の規格との相互運用性を確保するための仕組みを備えています。アプリケーションが、他の識別子やメタデータスキームが既に使用されている分野のものである場合、RA はサービスを提供するコミュニティにとって実用的な実装方法を詳細に検討する必要があります。 | 4.4 メタデータの相互運用性 |
DOIアプリケーションのコストはどのように回収するのか | 永続性の管理と、長期的な安定性を確保するための識別子・データの割り当てには、人的な介入と基盤(インフラ)のサポートが必要となるため、コストがかかります。DOIシステムでは、こうしたコストの回収方法はアプリケーションによって異なります。RAはDOI名割り当ての独自のビジネスモデルを自由に構築できます。DOI RAが提供するサービスには、単なるDOI名の提供だけでなく、データ、コンテンツ、権利管理などの付加価値サービスも含まれます。すべてのDOI RAに適用できる単一のビジネスモデルは存在しません(したがって、DOI名の支払い方法とコストに関する質問への回答も1つではありません)。 | 2.2.2 登録機関のビジネスモデル |